きれいな画像を撮るより大事なこと
こんちは、松崎です。
学生の頃、生理検査学の実習で生徒同士でエコーを当て合って、これが腎臓?とか、膵臓が見えねーとかやっていましたが、そんな時代を懐かしく思います。
学生時代から臨床検査技師になって間もないピヨピヨの時期は、エコーをする時は教科書に載っているようなきれいなエコー断面を出せるように一生懸命でした。
エコー検査できれいな画像を撮る事は、エコー検査の目的ではありません。
その画像をもとに体の中で何が起こっているのか答えを出すのがエコー技師の仕事です。
きれいな写真を撮る事は、エコー技師にとって大前提の話です。
エコー検査をする人にとって必要な能力は色々ありますが、大きく分けますと、
①解剖学をしっかり理解している。
②目的の臓器の断面をきれいに描出できる。
③病変が見えた時、それに気づく事ができる。
④その病変が、どのような疾患なのかを鑑別できる。
全て備わっていないと検査はできません。
画像診断は4つのDに沿って進めていくと師匠である院長から教わりました。
まず、1つめのD
Detect:気づく
エコー検査で目的の臓器を隅から隅までスキャンして見ていきますが、病変が画面上に写った時、今何かあったぞ。と気づけないといけません。小さい病変にも気づけないといけません。
異常に気づけないという事は、病変を見落としてしまっているという事になります。
2つ目のD
Describe:描述する
病変をDetectできたら、その病変は、どこにあって、どんな形で、大きさは何㎜で、血流はあるのか、他の臓器への浸潤・関係性などを描述します。
3つ目のD
Differentiate:鑑別する
という事は、
Aという疾患、Bという疾患、Cという疾患のいずれかが考えられる。
画像から考えられる疾患を疾患を列挙します。
4つ目のD
Diagnosis:診断する
患者様の背景が絡んできます。その人の年齢や性別など当たり前な情報も超重要。
A、B、Cが考えられるが、この患者の背景から、Aと考える。
といったように
Detect→Describe→Differentiate→ Diagnosis
の順で考えながら検査を進めていきます。
しっかり理解している人は無意識でこの思考になっています。
この手順で実際に腹部エコーをやってみます。
スクリーニング検査。被検者は24歳の男性とします。特に既往歴なし。
Detect
肝臓に腫瘤が写った。
Describe
S7領域に22×19×20㎜の高エコー腫瘤を認める。内部やや低エコー、辺縁は整、境界は明瞭、腫瘤への血流は認めない、脈管への浸潤なし。
Differentiate
画像から、肝血管腫、肝細胞癌、転移性肝腫瘍が考えられる。
Diagnosis
24歳と癌年齢でない、特に悪性疾患の既往なし、スクリーニング検査で偶然発見された。
ということは、「肝血管腫」
エコー技師は、写真を撮る事が仕事でない事が分かりますね。
エコーは一つのツールで、それを基に体の中で何が起こっているのかを考えながら検査する必要がありますね。
エコー検査は画像ではなく人を見ているという事を忘れずに。
松崎
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